素材選びで迷わない。Brixaにおける軟包装パッケージの“素材構成 × ジャンル × 袋タイプ”完全ガイド

パッケージ製造における「素材選び」は、
デザイン性・保存性・コストのすべてを左右する重要な工程です。
しかし、初めてパッケージをつくる人ほど、こう感じます。
・どの素材を選べばいいの?
・OPP40/PET12/PE60 って何のこと?
・内容量によって何が変わるの?
・透明袋、クラフト袋、アルミ袋は何が違うの?
その原因はシンプルで、
“素材構成(袋の中身)” と “素材ジャンル(見た目)” が混ざって理解されやすいから。
この記事では、
内部構造 → 外観 → 実際の組み合わせ
という順で整理しながら、誰でも迷わず選べるように解説します。
目次
素材構成とは何か
軟包装パッケージは、一枚の素材(フィルム)ではなく、
複数の素材を重ね合わせる「多層フィルム構造」で作られています。
この多層構造によって
・見た目(質感)
・バリア性(保存性)
・耐久性(強度)
が決まります。
まずはパッケージづくりでよく使う素材を見てみましょう。
| 素材 | 一言でいうと | 主な役割 |
|---|---|---|
| OPP (Oriented Polypropylene) | ツヤとマットがあり、印刷用素材 | 印刷用・表面層 |
| PET (Polyethylene Terephthalate) | 透明で丈夫な素材 | 強度担当 |
| VMPET (Vacuum Metallized PET) | 薄いアルミが付着したPET素材 | 高バリア・遮光 |
| AL (Aluminum) | アルミ箔そのもの | 最高レベルのバリア性 |
| PE (Polyethylene) | ヒートシール・強度担当 | 密閉性・耐久性 |
これらを「表面層 → 中間層 → 内側」の順に重ねた3層構造でパッケージが完成します。
パッケージの3層構造
表面層(見た目)
パッケージデザインの印刷を乗せる層で、主にOPPやクラフト紙が使われます。
| 素材 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| OPP | 印刷が綺麗・コスパ◎ | 袋の表面素材として広く使用 |
| クラフト紙(白/茶) | ナチュラルな質感 | コーヒー・焼き菓子・自然食品 |
中間層(バリア層)
内容物を光・湿気・酸素から守り、保存性を決める層です。
主にPET / 透明蒸着PET / VMPET / ALが使われます。
| 素材 | バリア性 | 特徴 |
|---|---|---|
| PET | ★★☆☆☆ | 標準的なバリア。透明袋に使う基本素材 |
| 透明蒸着PET | ★★★☆☆ | 透明のまま保存性UP。コーヒー・茶葉に◎ |
| VMPET(蒸着PET) | ★★★★☆ | 光・酸素に強い。食品袋の定番 |
| オーロラVMPET | ★★★★☆ | 装飾性が高く世界観を表現できる |
| AL(アルミ箔) | ★★★★★ | 最高レベルのバリア性。光・湿気を完全遮断 |
内側(強度/PE層)
袋の強度と密閉性を担う層。内容量によって必要なPE層が変わります。
※PE層の数字についてはフィルムの厚み(μ:ミクロン)を示します。1μ(ミクロン)=0.001mmとなり、数字が大きいほど厚く、強度が高くなります。
| 内容量 | 推奨PE層 | 強度 |
|---|---|---|
| ~100g | PE25 | ★☆☆☆☆ |
| 100〜500g | PE40 | ★★☆☆☆ |
| 500〜800g | PE60 | ★★★☆☆ |
| 800g〜1.5kg | PE80 | ★★★★☆ |
| 1.5〜3kg | PE100〜120 | ★★★★★ |
ここまでが、袋の内部をつくる「素材構成(中身)」の話でした。
しかし、多くの方が最初に悩むのは中身ではなく、外側の見た目です。
「透明にする?クラフトにする?アルミにする?」
という“ジャンル選び”ができないまま、素材構成の議論に入ってしまいます。
そこで次に、袋の見た目・質感・ブランド印象を決める
「素材ジャンル」について整理します。
素材ジャンルについて
素材ジャンルとは、
見た目・質感・バリア性・ブランド印象を決めるカテゴリーのことです。
素材ジャンル一覧
| ジャンル | 見た目の特徴 | バリア性 | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 透明半透明(PET) | 透明感+中身が見える | ★★☆☆☆ | お菓子、雑貨、コーヒー、粉末など |
| 透明半透明(透明蒸着) | 透明感+バリア性 | ★★★☆☆ | コーヒー豆、茶葉、乾物など |
| 片面アルミ蒸着 | 片側銀色、裏表でデザイン分け可 | ★★★☆☆ | ドライフルーツ、ナッツ、食品全般 |
| 片面オーロラ蒸着 | 片側が虹色 | ★★★☆☆ | ギフト、アクセサリー、コスメなど |
| オーロラ蒸着 | 全面虹色 | ★★★★☆ | 雑貨・キャラグッズ・限定商品 |
| OPP+アルミ蒸着 | 全面銀色 | ★★★★☆ | 光に弱い食品(茶葉・ナッツ) |
| クラフト紙+PE | 紙質感 | ★★☆☆☆ | 雑貨、焼き菓子等 |
| クラフト紙+PET | 紙感+バリア性 | ★★★☆☆ | コーヒー、粉末、自然食品 |
| クラフト紙+アルミ蒸着 | 紙質+強バリア | ★★★★☆ | 香り・湿気に弱い食品 |
| 窓付きクラフト紙 | 紙+中身を見せる窓つき | ★★☆☆☆ | グラノーラ、茶葉、焼き菓子 |
| OPP+アルミ箔 | 完全遮光 | ★★★★★ | 高級粉末・医薬部外品 |
| クラフト紙+アルミ箔 | 紙質+高バリア性 | ★★★★★ | ハーブ類・スパイス・薬膳 |
素材ジャンルごとの特徴をここまで見てきましたが、これはあくまで「外観(見た目)」の違いを整理したものです。
しかし、ここで多くの方が次のように疑問を持ちます。
「同じクラフト袋でも、中身の素材は全部同じなの?」
実は、素材ジャンル(透明・クラフト・アルミ)は、あくまで “外観のカテゴリー” にすぎず、その内側に使われている素材構成(OPP40/PET12/PE60 など)は別で決まっています。
つまり、
見た目が同じ袋でも、中身(バリア性・強度・構成)はまったく違うということが往々にしてあります。
例えばクラフト袋なら、
・軽い雑貨用の構成
・コーヒー豆用の構成
・ハーブやスパイス向けの高バリア構成
など、用途によって中身の素材が変わるのです。
そこで次の章では、
「各ジャンルで実際によく使われる素材構成」を
迷わず理解できるように整理しました。
あなたが選びたいジャンルを軸に、どのような構成が適しているのかをスムーズに判断できるようになります。
素材ジャンル別素材構成の一覧
実際の製造ではジャンルごとに相性の良い素材構成があります。
この章では、ジャンル別で相性の良い素材構成をまとめていると共に、その素材構成で良く使われる内容物までまとめています。
なお、この章でも出てくる素材の後ろについている数字は前述の通り、フィルムの厚み(μ:ミクロン)を示します。
透明半透明
| 素材構成 | 特徴 | 内容物 |
|---|---|---|
| OPP40 / PET12 / PE25〜80 | 最も標準的な透明袋。軽量〜中容量に対応。 | お菓子、雑貨、粉末、小容量食品 |
| OPP40 / 透明蒸着PET14 / PE40〜80 | 透明性+バリア性のバランスが良い。 | コーヒー豆、茶葉、乾物 |
アルミ蒸着
| 素材構成 | 特徴 | 内容物 |
|---|---|---|
| OPP40 / VMPET12 / PE40〜80 | 光・酸素に強い。食品用途の定番。 | ナッツ、ドライフルーツ、スナック類 |
| OPP40 / オーロラVMPET12 / PE40〜80 | バリア性+オーロラの装飾性。 | ギフト、雑貨、限定商品 |
アルミ箔
| 素材構成 | 特徴 | 内容物 |
|---|---|---|
| OPP40 / PET12 / AL7 / PE60〜120 | 光・湿気・酸素を完全に遮断。最高バリア。 | 高級粉末、医薬部外品、香りが重要な商品 |
| クラフト紙 / PET12 / AL7 / PE60〜120 | 見た目はクラフトでも中身は最強バリア。 | ハーブ、スパイス、薬膳 |
クラフト紙
| 素材構成 | 特徴 | 内容物 |
|---|---|---|
| クラフト紙 / PE40〜80 | 素朴でナチュラル。軽量物向け。 | 焼き菓子、雑貨、スパイス |
| クラフト紙 / PET12 / PE40〜80 | バリア性が強化されたクラフト袋。 | コーヒー、粉末、自然食品 |
上記に加え、バリア性についての理解も深めることで、より最適な素材構成を選定することが可能となります。
バリア性については、以下の記事で詳しくまとめています。
▶︎ 【診断チャートあり】バリア性は何を基準に選べばいいの?|軟包装パッケージの選び方ガイド
袋タイプごとに使えない素材がある理由
結論から言うと、袋タイプによって「使える素材・使えない素材」があります。理由は、袋タイプごとに必要な“厚み・強度・補強構造”が異なるためです。
そのため、すべての袋タイプがすべての素材ジャンルに対応しているわけではありません。
これは製造都合ではなく、袋の形状ごとに必要な“構造条件”が違うためです。
たとえば、
・自立するために必要な厚み
・ヒートシールに必要な幅
・底面や側面の補強
など、袋タイプごとにクリアすべき基準があります。
これを満たさない素材を選ぶと、
・破れやすい
・変形しやすい
・密封不良が起きやすい
といった問題につながるため、「推奨されない素材」が存在するわけです。
これらは袋タイプやサイズ、チャックの有無によって適合条件は変わるため、迷った場合はお気軽にご相談ください。
▶︎ 【素材の相談をする】
まとめ
パッケージの素材選びは、「見た目」と「性能」をどう両立させるかという設計作業です。
袋が表面層・中間層・内側の三層で成り立つ仕組みを理解できれば、
透明・クラフト・アルミといったジャンルの違いも、目的に合わせて迷わず選べるようになります。
そして、最適な素材構成は内容物やブランドの世界観によって大きく変わります。
“これさえ選べば正解”というものは存在しません。
だからこそ、正しい知識と比較軸を持つことが素材選びの成功に直結します。
素材選びで迷ったら、お気軽にご相談ください
とはいえ、素材選びは慣れるまでは難しいものです。
そこで、Brixaでは「スマート見積り」という、選択肢から素材構成を簡単に選べるパッケージの見積書作成ツールを無料で提供しています。
もし、素材構成でお悩みであれば、まずは「スマート見積り」を使って、素材構成のシミュレーションとその場合の費用感をご確認ください。
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また、以下のようなご相談も随時受け付けております。
「どのジャンルが自分の商品に合うのか分からない」
「透明とアルミ、どちらが正解?」
「保存性とデザイン性の両立が難しい」
そんなお悩みに応じて、用途に合わせた素材構成をご提案できるため、Brixaまでお気軽にご連絡ください。
▶︎ 【素材の相談をする】
30秒でこの記事を理解する
・袋は表面層/バリア層/PE層の三層でできており、性能(保存性・強度)は素材構成で決まる。
・素材構成=性能、素材ジャンル=見た目であり、この2つは別物。
・見た目が同じ袋でも、内側の素材構成が違えば保存性・強度はまったく別物になる。
・内容量に応じて必要なPE層の厚みが変わり、強度も変化する。
・透明、クラフト、アルミなど、ジャンルごとに相性のよい素材構成が存在する。
・袋タイプによって使える素材に制限があり、強度要件が異なる。
・迷ったらスマート見積りを使えば、条件に合わせて最適な素材構成が自動的に絞られる。

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