【診断チャートあり】バリア性は何を基準に選べばいいの?|軟包装パッケージの選び方ガイド

パッケージを検討する際、「どのバリア性を選べばいいのかわからない」というご相談を多くいただきます。
防湿・遮光・酸素バリアなど、包材の性能は多岐にわたるため、内容物と保存期間に合わせて最適な素材を選ぶことが重要です。
本記事では、当サービスの「Brixa」にて多くのD2Cブランド・OEM企業・デザイナーの方々からご相談いただく内容を元に、バリア性選びの基準をわかりやすく整理してご紹介します。
適切なバリア素材をサクッと知りたい方は診断チャートをご活用ください!
※本診断チャートはあくまで簡易版です。実際にパッケージを製造する際は、より詳しい内容をまとめた本記事をあわせてご覧いただくことをおすすめします。
目次
結論
バリア素材は “内容物の弱点” を起点に選ぶことが最も重要です。
商品はそれぞれ「湿気・光・酸素・におい」のどれに弱いかが異なるため、
まずは「何から守るべきか」を明確にする必要があります。
そのうえで、以下の条件を組み合わせることで最適な素材が1つに絞られていきます。
・保存期間(賞味期限・使用期限)
・保管環境(倉庫/EC/店頭)
・デザインの見せ方(透明にしたいか)
Brixaでは、内容物に対して以下の素材が選ばれるケースが多くあります。
| 内容物 | 保存期間の目安 | 推奨素材 |
|---|---|---|
| プロテイン・粉末サプリ | 1年以上 | アルミ箔(高バリア) |
| 健康食品・お菓子・お茶・ペットフード | 1年未満 | アルミ蒸着・透明蒸着 (中バリア) |
| 衣類・化粧品容器・雑貨 | 数か月 | 透明(PET)など低〜中バリア |
内容物から考えるバリア性の必要度
必要なバリア性は、内容物ごとに「弱いポイント(湿気・光・酸素・におい)」が異なるため、どの要因から守るべきかを整理することが素材選びの第一ステップになります。
たとえば粉末食品は湿気に弱く、健康食品は光に弱い…というように、同じ“食品”でも必要なバリア性能は大きく変わります。
以下では、内容物ごとに最適な素材をひと目で比較できる表と、具体的な例をセットでご紹介します。
| 内容物 | 必要なバリア性能 | 推奨素材 | 補足 |
|---|---|---|---|
| プロテイン・粉末サプリ | 湿気・遮光性 | アルミ箔 | 湿気に極めて弱いため、アルミ蒸着は非推奨 |
| コーヒー・ナッツ類 | 湿気・酸素 | アルミ箔 アルミ蒸着 | 目的に応じて蒸着を選ぶケースも多い |
| 健康食品・サプリ・香辛料 | 遮光性・酸素 | アルミ箔 | 光による成分変化を避けたい際に適する |
| ペットフード | 酸素・におい | アルミ蒸着 アルミ箔 | 油脂が多い場合はアルミ箔が安心 |
| お茶・紅茶 | におい・酸素 | アルミ蒸着 透明蒸着 | 香りをキープしたい商品に向いている |
| 焼き菓子・スナック | 湿気・酸素 | アルミ蒸着 透明蒸着 | 保存期間が短めの食品に利用される |
| 衣類・化粧品容器・雑貨 | バリア性不要 見た目重視 | 透明(PET) | 内容物が劣化しない前提の用途 |
※注意点
アルミ蒸着は、アルミ箔と比べて湿気バリアが低めです。
そのため、以下の商品はほとんどのケースでアルミ箔一択になります。
・プロテイン
・粉末サプリ
・健康系粉末食品
一方で以下の商品などは、「見た目」「香りキープ」などの目的に応じてアルミ蒸着を選ばれるケースもあります。
・コーヒー豆
・ナッツ
保存期間を基準にする方法
パッケージ素材を選ぶ際、保存期間(賞味期限・使用期限)は非常に重要な指標になります。
保存期間が長くなるほど、湿気・酸化・光などによる劣化リスクが高まるため、より高いバリア性を持つ素材が必要になります。
以下は、Brixaへ寄せられる相談内容をもとにした「保存期間から選ぶ素材の目安」です。
| 保存期間 | 必要バリア性 | 推奨素材 | 用途例 |
|---|---|---|---|
| 1年以上 | 高バリア | アルミ箔 | プロテイン、サプリ |
| 6〜12か月 | 中バリア | アルミ蒸着・透明蒸着 | お菓子、コーヒー、お茶、ペットフード |
| 数週間〜数か月 | 低〜中バリア | PET系透明素材 | 衣類、化粧品セット、雑貨 |
▼ 間違ったバリア素材を選ぶと起きること
● アルミ箔にすべきものを蒸着にすると…
・湿気で粉末が固まる
・成分が変質して色が変わる
・酵素ドリンクや健康食品でクレーム率が上がる
・返品や回収リスクが高まる
● 透明蒸着でコーヒー豆を入れると…
・香り抜けが発生
・酸化スピードが加速
・開封時の香り立ちが弱い → 顧客満足度が低下
● 透明袋でお茶を入れると…
・におい移り
・茶葉の酸化が早まる
・安っぽく見えて購買率が下がる
バリア性の議論では、
「WVTR(湿気バリア)」と「OTR(酸素バリア)」という専門的な数値が登場します。
専門用語ですが、覚える必要はありません。
ただ、素材ごとの性能差を知るうえで「ざっくりとした代表値」だけ把握しておくと、
なぜアルミ箔が“高バリア”なのかが直感的に理解できます。
| 素材 | WVTR(防湿) | OTR(酸素バリア) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アルミ箔 | ≒0 g/m²·day | ≒0 cc/m²·day | ほぼ完全バリア。長期保存向け |
| アルミ蒸着 | 0.1〜1 | 0.1〜1 | 高バリアだが箔ほどではない |
| 透明蒸着 | 0.5〜5 | 1〜10 | 中バリア。香り保持に強い |
| PET透明 | 10〜40 | 80〜150 | 低バリア。食品には不向き |
※数値はいずれも一般的なレンジ(目安)です。素材構成や厚みにより変動します。
劣化要因別|素材の比較表
内容物がどのように劣化しやすいか(湿気・光・酸素・においなど)は、
最適なパッケージ素材を選ぶうえでの最重要ポイントと言えます。
劣化要因ごとに、どの素材が適しているのかを整理した比較表を以下にまとめました。
| 劣化要因 | 適したバリア素材 | 備考(選定のポイント) |
|---|---|---|
| 湿気 | アルミ箔 > アルミ蒸着 > 透明蒸着 | アルミ箔は湿気透過度(WVTR)が最も低く、防湿性能が高い。蒸着系は一定の防湿性があるが、アルミ箔には劣る。 |
| 光 | アルミ箔 | アルミ箔は可視光線・紫外線を通さず遮光性が高いため、光で成分が変質しやすい商品に適している。 |
| 酸素 | アルミ箔 > アルミ蒸着 | アルミ箔は酸素透過度(OTR)が極めて低く、酸化を防ぎやすい。アルミ蒸着も酸素バリアがあるが、箔よりは低性能。 |
| におい | アルミ蒸着 > 透明蒸着 | 蒸着フィルムは、においの通過や香り抜けを抑える性質があり、外部のにおい移りにも強い。 |



また、パッケージには品質を守る役割に加えて、ブランドイメージを伝える「見せ方(演出)」も重要になります。
以下は、デザイン目的で素材を選ぶ際のよくある組み合わせをまとめた比較表です。
| 目的 | 適した素材 | 理由 |
|---|---|---|
| 中身を見せたい | 透明(PET) | 商品の色・形状が見える |
| 金属っぽい質感を出したい | アルミ蒸着 | 高級感・光沢感が出せる |
| ナチュラルにしたい | クラフト×透明蒸着 | 素材感を活かした演出が可能 |
※「見せ方(演出)」は劣化要因ではありませんが、素材選定の際に考慮される場合があるため補足しています。
まとめ
最適なパッケージ素材は
「内容物 × 保存期間 × 劣化要因」
の3つの要素の組み合わせで決まります。
ポイントは次のとおりです。
1. 内容物の弱点(湿気・光・酸素・におい)を最初に特定する
2. 保存期間が長いほど、“高バリア素材(アルミ箔)”が必要
3. 透明素材は見た目重視。食品では使用条件を慎重に
4. “迷ったら湿気 → 光 → 酸素の順に優先すると失敗しにくい”
5. 同じ粉末食品でも、販売方法や在庫計画で最適素材が変わる
素材選びに絶対の正解はありません。
しかし、この記事の3ステップ(内容物 → 保存期間 → 劣化要因)に沿って整理すれば、
必要なバリアレベルが自然と絞られます。
| 内容物カテゴリ | 主な弱点 | 推奨素材 | 保存期間の目安 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| プロテイン・粉末サプリ | 湿気・光 | アルミ箔 | 1年以上 | WVTR・OTRともに最小で粉末劣化をほぼ防ぐ |
| コーヒー豆・ナッツ | 酸素・湿気 | アルミ箔 アルミ蒸着 | 6〜12か月 | 酸化しやすい油脂を守れる |
| お茶・紅茶 | 香り・酸素 | アルミ蒸着 透明蒸着 | 3〜12か月 | 香り保持に向くが湿気は箔に劣る |
| 健康食品・スパイス | 光・酸素 | アルミ箔 | 6〜12か月 | 成分変質を防ぐには遮光性が必須 |
| 焼き菓子・スナック | 湿気 | アルミ蒸着 透明蒸着 | 2〜6か月 | 湿気バリアが必要、箔は過剰性能のことも |
| ペットフード | 酸素・におい | アルミ蒸着 アルミ箔 | 6〜12か月 | 油脂酸化・におい移りを防ぐ |
| 衣類・雑貨 | 劣化なし | 透明(PET) | 数か月〜 | 見た目優先、バリア性不要 |
もし判断が難しい場合は、
“内容物・保存期間・ロット数”の3点をお知らせいただければ、より適した素材構成をご提案できます。
いつでもお気軽にご相談ください。
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30秒で記事を理解する
・バリア素材は 内容物の弱点 × 保存期間 × 劣化要因 の3つで選ぶ
・粉末・長期保存 → アルミ箔(高バリア)
・食品類(1年未満) → アルミ蒸着 / 透明蒸着(中バリア)
・衣類・雑貨 → 透明(PET)
・“透明で見せたい”は食品ではリスクも
・迷ったら湿気 → 光 → 酸素の順に優先すると失敗しない

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